Battle1
新たなる光!アスカ見参!!
1996年9月より、円谷プロが3年間に渡って制作した《平成ウルトラマンシリーズ》。その特徴は、人が"光"をつかみ、ウルトラマンとなる物語であるということだ。強大な奇跡の力を得た時、人は何を目指し、何と戦うのか…そんな問い掛けをテーマに描かれたドラマは、かつて無い"人間ウルトラマン"の物語として、絶大な支持を集めていった。中でもシリーズ第2作『ウルトラマンダイナ』は、スーパーGUTS の隊員で、普段は破天荒なお調子者だが、どこか繊細な一面を持つ主人公アスカ・シンを中心に描かれた。"無茶かもしれないけど無理じゃない"という、彼流の、どんな苦境に対しても、決して諦めない揺るぎ無い姿勢は、「本当の戦いは、ここからだぜ!」という言葉によって象徴されていく。そして、劇中でも語源のひとつとして語られ"ダイナミック"なパワーを発揮するウルトラマン"ダイナ"となって、侵略者や怪獣を相手に文字通りの大活躍を繰り広げていった。その一方で、宇宙での新型機実験飛行のさなか、謎の光の彼方に消えたテストパイロットの父への心情は、誰も知りえない秘めた想いとして、アスカの心に生きる問い掛けをもたらしながら、揺るぎ無い道しるべとなっていくのである。
Battle2
ウルトラの星が導くもの
ウルトラマンダイナは3つの姿を持っており、戦う相手や状況によって、より高いポテンシャルを発揮するために姿を変える。それがタイプチェンジ能力だ。赤と青の流麗なラインがボディを走るベーシックなスタイルのフラッシュタイプ。超能力技を得意とし、銀のボディに青いラインが鮮やかなミラクルタイプ。無双の怪力を誇り、隆々たる頼もしい深紅の姿、ストロングタイプである。こうした展開は、前作『ウルトラマンティガ』で、ウルトラマン自身の画期的な変身能力として初めて採り入れられたもの。そして、それら変身過程を華麗に表現してみせた原動力こそ、当時、上昇気運にあったCGを始めとするデジタルエフェクト技術であった。人材機材のあらゆる面がまだまだ開発途上で、テクニックそのものも限られていたとは言え、昭和のウルトラマンシリーズを超える新たな映像表現で空想特撮の世界を描くという意識が徹底され、『ティガ』以上の驚きと臨場感に溢れるシーンの創出を実現させていった。この開拓者精神があればこそ、ウルトラマンシリーズは遠く彼方のクラシックな伝説から、誕生から50年にも迫る歴史を紡ぎ続ける英雄譚になり得たのである。
Battle3
明日へのウイニングショット!!
そして、この物語の中で描かれていく人間ドラマとは?
デジタルエフェクトの向上は、宇宙、海底、更には異空間と、それまではリアルな映像化が困難だった人類未踏の舞台設定を次々に可能にしていった。そして人は、未知の世界に何を見出だし、何を掴むのか。その精神は"ネオ・フロンティア"というキーワードで力強く示されていく。だが、待ち受ける未来が本当に輝かしいものなのかは誰にも解らない…時に人は歩みを止め、時に心を歪めてもしまう。そこに猛烈な雄叫びと共に斬り込み、あるいは誰よりもあたたかい手を差しのべる者こそウルトラマンダイナ=アスカ・シンなのである。アスカは歴代の素顔のウルトラマンたちの中でも突出して笑い、怒り、そして涙した、最も表情豊かな主人公でもあった。深い悲しみを知っているからこそ、正真正銘、本気の感情が爆発するアスカの人物像は画期的だった。だからこそ人は目覚め、自分だけの光を見出だせた。それはドラマの中の出来事だけではなく、『ウルトラマンダイナ』を愛した全ての人々の共通の想いであったに違いない。明日を信じる想いがある限り、未来に終わりはないのだと!