HD Remaster 2.0 Blu-ray Series

OUTLINE

1 史上屈指の<リアルな>ウルトラマン

『帰ってきたウルトラマン』の大きな特長は、従来からのウルトラマンシリーズの根幹=SF娯楽特撮を保持しながら、日常性も内包した現実味のある、「リアル」の描写にこだわった点であった。
主人公が家族的立場の人たちと毎日接している都心のすぐ傍に、怪獣が繰り返し現れて暴れる。怪獣攻撃隊=MATが使用する航空兵器も、現用兵器の延長線としての実在感に溢れるなど、作品を"より我々の日常に近い世界の出来事"と感じさせるものになった。
また、登場人物の内面やバックボーンをより明確に打ち出すドラマ作りと演出方法が採られたことにより、キャラクター同士の個性がぶつかり合い、迫真性のある物語が紡がれて、これもまた作品に「リアル」を強烈に感じさせる要因となった。
一度負けても敗北を受け止め、再戦して勝利する努力の物語としてもまた本作は「リアル」だった。ここまで現実感を追求したシリーズは他にない。改めて、『帰ってきたウルトラマン』のストレートで、骨太な作品世界を堪能してほしい。

2 ウルトラ伝説の新たな幕開け

本作は"初代"ウルトラマン、ウルトラセブンに次ぐ新たなウルトラマンとして設定された。これによってウルトラマンワールドが一気に拡大・豊潤なものになる端緒となった。ゾフィーを筆頭にした4大ウルトラマンが存在する設定はやがて「ウルトラ兄弟」という画期的発想に辿りつき、ウルトラマンシリーズ全体の人気を底上げすることになる。 今でこそ歴代ヒーローの共演、ヒーローのパワーアップや新必殺武器の登場、過去の人気怪獣が再登場して夢の激闘を繰り広げる……などの仕掛けがすっかり定着した感があるが、全てはこの『帰ってきたウルトラマン』から始まっているのだ。
もちろん、シリーズの歴史は『ウルトラQ』から幕を開けるわけだが、『帰ってきたウルトラマン』はウルトラマンワールドを大きく開拓した"新たな伝説の幕開け"とも呼ぶべき作品なのだ。伝説の黎明、歴史の転換点、様々な意味合いを持つ本作をいま一度じっくり鑑賞いただきたい。

3 時代の空気、色、質感をダイレクトに伝えるHDリマスターの魅力

ファン待望のBlu-ray化を果たす今回も、従来のシリーズ同様に44年前に撮影された16ミリフィルム原版にまでさかのぼり、改めて原版の状態を検証、確認して作業を進める工程を踏んでいる。本作品制作当時、撮影助手として携わった円谷プロダクション現社長の大岡新一がリマスター作業にアドバイスを出し、フィルムに刻み込まれた情報を最大限、漏らさず再現させた最良のHDリマスターとして完成した。出演者たちの肌合いなど、被写体となったあらゆるものの色彩や質感を観る者に的確に感じさせるように、階調表現(色や明るさの変化のなめらかさ)には特に注意を払った。
これぞ本当の『帰ってきたウルトラマン』の世界!そう断言できる鮮やかな仕上がりとなった今回のHDリマスターにて、改めて"1971年の空気"が帰ってきたのを感じていただきたい。懐かしさだけでなく、新たな魅力があなたの胸を打つに違いない。