HD Remaster 2.0 Blu-ray Series

OUTLINES

《平成ウルトラマンシリーズ》第1弾、『ウルトラマンティガ』初のBlu-ray化 で復活!全52話のテレビシリーズ、劇場版、OVとティガの全てを高画質化! 輝ける者たちの軌跡をここに集大成! もうひとつのリマスター《アップコンバート》。高画質化する視聴環境に応える 技術が、『ウルトラマンティガ』が秘めたすべてを、鮮明によみがえらせる!

ウルトラマンシリーズ誕生30周年記念作品

ウルトラマンシリーズ誕生30周年記念作品  1966年に幕を開けた空想特撮シリーズ『ウルトラQ』、そして『ウルトラマン』。製作は、日本の特撮界の父と呼ばれた特技監督・円谷英二が率いる円谷プロ(当時は円谷特技プロ)である。怪獣と人間たちの攻防…そして、身長40メートルの巨大ヒーローの活躍がテレビで放送されるや、瞬く間に怪獣ブームが巻き起こった。
 これらを礎として『ウルトラセブン』、『帰ってきたウルトラマン』などへと続く《ウルトラマンシリーズ》が次々と製作され、長年に渡り人気番組として好評を博していく。その後も劇場用映画や販売・レンタル用のオリジナルビデオ作品など、新たなステージを開拓した《ウルトラマンシリーズ》は、『ウルトラマンUSA』『ウルトラマンG』などの海外合作や、『ウルトラマンキッズ』などのアニメ作品を中心に新作を発表していたが、初代『ウルトラマン』の誕生から30周年にあたる1996年、まさにシリーズ誕生30周年記念作品として新作待望の声が上がる。かくて同年9月、『ウルトラマンティガ』はスタートした。1980年放送の『ウルトラマン80』以来、実に16年振りの新作テレビシリーズ復活である!!

平成の世のウルトラマン像とは?

 1996年…時代は既に、昭和から平成に移り変わっていた。そして20世紀の終焉と、来る21世紀への期待と不安が、人々の最大の関心事だった。では、この混沌とした時代に相応しいウルトラマン像とは何なのか?
 その回答のひとつが、ティガは「超古代の石像から復活した巨人」だという新設定である。昭和のウルトラマンたちは、地球から300万光年離れたM78星雲・光の国から来た正義のヒーローという設定を基本型としていたが、敢えて出自を不明確にする事で目指されたものこそ、人間とウルトラマンとの関わりを改めて問い直していく物語だった。ウルトラマンの根幹をリセットした事によって生まれたこの展開は、放送開始直後は当然、大きな賛否両論を呼んだ。だが、不確実な時代のうねりも相まって、多くの人々の共感を集めるのに時間はかからなかった。物語に登場する人々は、未来へ歩む中、時に迷い、時に過ちを犯し…しかし、懸命に希望の光を模索していく。そんな光の象徴として、ウルトラマンはいた。ティガは常に人々と向き合い、あらゆる闇の存在に挑んでいったのである。

特捜チーム・GUTSの新たな人物像

 本作は特捜チーム・GUTSの隊員たちにもリアリティあふれる人物設定がなされ、7人の隊員それぞれに魅力的なドラマが描かれていったが、特筆すべきは何と言っても、超古代の遺伝子を受け継ぎ、ウルトラマンティガに変身するマドカ・ダイゴ隊員を演じた、V6・長野博の存在感である。己の宿命に戸惑い打ちのめされながら、多くの事件や様々な出会いを通じて、人として何をすべきかを決意していく。その姿は、これまでに無い変身ヒーロー像として、高い評価を得ていった。
 そして、GUTSの2人のヒロインの存在にも注目が集まった。高樹澪演じる《ウルトラマンシリーズ》初の女性隊長イルマ・メグミ。もう1人は、初代ウルトラマンに変身する科学特捜隊のハヤタ隊員を演じた黒部進の娘・吉本多香美演じるエースパイロットのヤナセ・レナ隊員だ。この2人は設定からも当然、GUTSの中心的人物だ。したがって物語にも自然に、女性ならではの視点が盛り込まれていった。特に組織観、家族観、怪獣観を題材にしたエピソードが多数生み出され、従来のウルトラマン的フォーマットから、思考や解釈の幅を拡げる役割を果たしていく。と同時に、それぞれの思いからウルトラマンを、そしてダイゴを捉えていく展開がドラマチックに描かれるなど、物語のクライマックスへの道筋は、この2人の存在なくして導き得なかったに違いない。

スピン・オフ~テレビシリーズの枠をこえて

 本作は、翌年8月末まで1年間で全52話の放送を終えた。シリーズは『ウルトラマンダイナ』に引き継がれ、更にその1年後には『ウルトラマンガイア』へと継承されていく。この3作品は、いつしか《平成ウルトラマンシリーズ》と呼ばれるようになり、連続3年間の放送を好評のうちに完走した。その一方で《平成ウルトラマンシリーズ》は、テレビ放送を飛び越え、劇場版とオリジナルビデオ作品という、それぞれ2本のスピン・オフ企画が実現している事もポイントだ。中でも本作関連の独自性は際立っている。劇場版『ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY』(2000年)は、ティガ自身の衝撃的な過去を描きながら、テレビシリーズの完結編が目指された。オリジナルビデオ作品『ウルトラマンティガ外伝 古代に蘇る巨人』(2001年)は、更に未来の時代設定を行いつつ、遥か太古の時代にタイムスリップ。古代人たちと共に活躍するティガの姿が描かれている。両作品は《平成ウルトラマンシリーズ》の3年間を通じて蓄積された経験値が存分に活かされた、まさに総決算と呼ぶに相応しい完成度を誇っている。
 なお、ウルトラマンティガは、この2作品の間に公開された劇場版『ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ 光の星の戦士たち』(1998年)、同じく『ウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦』(1999年)にも登場。《平成ウルトラマンシリーズ》の最前線で、実に5年連続で勇躍した事実は画期的の一語に尽きる。

HD高画質化で新たなる復活!!

 時代と共に生まれた本作は、更なる事態に直面する事になる。撮影時に16ミリならびに35ミリフィルムを使用。テレシネを経てD-1ビデオテープによる仕上げとD-2ビデオテープによる完パケ制作を行い、美麗な画質を誇ってきた本作だが、初放送から早くも18年が経過し、テレビ放送や映像ソフト鑑賞の環境も劇的な変化を遂げた事で、HD対応による高画質化が急務となっていった。そこで、東映ラボ・テックによるアップコンバート作業が開始される。東映ラボ・テックは、アニメ、特撮は言うに及ばず、時代劇、現代劇と実に多様な感性の集積によって東映が制作してきた作品群の映像を、長年に渡ってマスタリングしてきた実績を持つ。そこで培われた技術が、本作の高画質化を全面的に支えているのだ。
 ところで、円谷プロと東映グループのタッグを意外に思われる方がいらっしゃるかもしれないが、実は、1980年代後半から急加速していった昭和の円谷プロ作品群のビデオ化、レーザーディスク化、更に再編集ビデオ制作と、映像ソフトの開発を多方面でバックアップしてきたのが東映化学工業(東映ラボ・テックの旧名)だったのである。
 ここに万全の態勢を整え、『ウルトラマンティガ』は、新たな輝きと共に復活の時を迎える!!